特集:楽観主義健康法 第3部

悲観主義者は自分を責める

楽観主義の考え方のひとつに、「良い事の起こる原因は自分にあり、悪い事の起こる原因は自分だけではなく自分以外のものにもある」というのがあります。

物事の良し悪しの判断は、個々の出来事によって違うでしょうし、ましてその原因がどこにあったのかとなると、簡単に究明できない事も多いはずです。しかし、悲観的な考え方をする人というのは、悪い事が起こると、概してそれをすべて自分のせいだと考えがちです。

もちろん、自分に関連して起こった出来事に対して、責任を感じるというのは、人としては当然であり、むしろ、社会人として必要な考え方でしょう。

しかし、こころの病気になって、たとえば私のクリニックに来られる方には、以下のタイプの人が非常に多いのです。ひとりだけで責任を背負い込み、「すべて自分が悪い」「自分さえもっと頑張っていればこうはならなかった」等々と、すぐに自分だけを責めてしまうのです。

これに対して、何か悪い事が起こっても、「まあ、しょうがない。」などとあっさりしている人や、「自分だけのせいではない。たまたま運が悪かったということもあるだろう。」などと、やや無責任とも思える考え方をする人は、社会的な善悪はともかくとしても、少なくともこころの健康という点では、好ましいという事が言えるようです。

ひとりで責任を背負い込まない

何か失敗した時に反省するというのは、たいていの場合必要な事でしょう。しかし、悲観的な人は、いつまでも反省ばかりしていて、その教訓を生かして前に進もうという気概に欠けている事が多いのです。過去にとらわれ、自分だけを責めてばかりいてはなんら問題解決には結びつきませんし、ストレスでこころは蝕まれてしまうはずです。

もちろん反省すべき点は反省すべきですが、大切なのは、次に進むための前向きな反省であるべきだ、という事です。

もともとこころがタフな人には、こんな事は言う必要はないでしょうが、生真面目で責任感の強すぎる方には、かなり効果のある発想の転換法だと思います。もし思い当たる方がいたら、ぜひ試してみてください。

世の中で起きる出来事は、たいてい複雑な要因を含んでいるものです。何も自分だけがその全責任を背負う必要はありません。また、何か良い出来事が起こった場合には、自分の能力なり人柄なりといったものが、その事に貢献したのだと考えて自信を持ち、さらにその自分の長所に磨きをかけていくようにすればいいのです。

バックナンバーへ
TOPへ戻る

会員はここをクリック

ログイン