ココロトピックス

2017/11/10

No.105

キレる高齢者が急増中。暴力で逮捕も

心が広く優しいお爺さんはもはや昔話

年をとるにつれて経験や知識が増して人格が向上。心が広く優しくなってみんなに慕われる・・かつてはお年寄りと云えばそんなイメージを浮かべたものです。


ところが最近になって、ささいなことで突然キレて暴力を振るったり、理不尽な要求をするお年よりが急増。かつての優しいお爺さんのイメージはいまや昔話になってしまいました。


「乗り過ごしたのでタクシー代を払え!」と駅員に詰め寄ったり、携帯ショップでスマホの説明を受けて「お前の説明は分からん!」と急にキレたり、「入院しているのになんで治らないんだ!」と医師や看護師に噛みついたり、銀行で行員を「手続きが面倒くさすぎる!」とどなりつけたり、飛行機の化粧室内での喫煙を客室乗務員に注意されて「だまれ!」と開き直ったり、果てはタバコのポイ捨てを小学生から注意されたことで首を絞めて逮捕されたりなどなど。


JRや私鉄による調査によると、駅員などへの暴力行為は60代以上が最多で、以下40代、50代の順と高齢者が続きます。また警察庁によると、平成27年の暴行による刑事犯の高齢者は3088人、傷害によるそれは1715人と、それぞれ10年前の4.3倍、1.6倍に急増しています。さらに、私立大学病院の連絡会議の調査では、患者やその家族から受けた暴力は70代が最多で、セクハラは60代が、暴言は50代が最多となっています。


脳の老化やホルモン不足がキレる原因だった

いったいなぜ最近の高齢者は簡単に自制心を失ってしまうのでしょうか?


その原因の一つが「加齢」です。加齢とともに高齢者の脳は使われなくなったり萎縮したりして機能が衰えてしまい、とくに早くから萎縮が始まるのが感情や衝動の抑制や、理解力・判断力などを司る「前頭葉」です。その結果、感情や衝動を抑制する機能、理解力・判断力などが低下、状況判断ができなくなり、その人本来の怒りっぽい性格を抑えられなくなってしまうのです。また、認知症の高齢者も感情や衝動の抑制ができなくなってしまいます。


さらに、衝動や攻撃性などを抑制する作用を持つ脳内物質「セロトニン」は、日光浴や運動、人との触れ合いなどによって分泌されますが、最近の高齢者、とくに都会においてはこれらが不足がちで、セロトニンの分泌が減って衝動や攻撃性などを抑えられなくなっているのです。