楽観主義健康法 第1部

今、注目される「楽観主義」

アメリカの心理学者であるマーティン・セリグマン(Martin Seligman:1942~)は、人が何らかの出来事に遭遇した時の解釈(説明スタイル)によって、「楽観主義」と「悲観主義」とを分類し、その違いは、「永続性・普遍性・個人度」という3つの尺度にあらわれる、としました。

「楽観主義」というと、いささか安易な考え方で、油断につながるものというイメージがあります。

心理学の世界でも、かつて「楽観主義」は「短絡的な思考・判断形式の一つ」とされていました。

しかし、1960年代以降になるとこのような捉え方が見直されるようになり、特にスポーツや勝負の世界においては「楽観主義的な考え方をする者ほどよい成績をあげる」といった内容の研究報告も提出されるようになりました。

国際スポーツ大会での日本人

実際、過去のオリンピックなどの国際的なスポーツ大会では、陽気でおおらかなアメリカ人が次々に金メダルを勝ち取る一方で、「大和魂」や「根性」などが強調され、悲壮な覚悟で臨んだ日本人選手は“断じて勝たねばならない”といったプレッシャーに押しつぶされてしまう、という場面が何度もありました。体格や身体能力、技術の違いもあったでしょうが「メンタル的な感覚の違い」も無視できない大きな要素だったと思われます。

2004年に行われたアテネオリンピックで、日本はかつてないほどの好成績を収めました。選手団にはメンタルトレーナーも同行していたということですが、選手たちからはかつてのような悲壮感は感じられず、大舞台特有の緊張感で満たされた会場に立つ日本人アスリートからは、陽気な雰囲気さえ伝わってきました。

「楽観主義」は健康法

現在では、スポーツや勝負事に限らず、学業やビジネスなど日常生活の様々な分野で、「楽観主義」がメンタルヘルスあるいはメンタルタフネスに対して有効な考え方だと認識されるようになってきたのです。

楽観主義的な考え方をする人はまた、心身の病気にかかりにくいと言われます。したがって、「楽観主義」は健康法という観点からも注目に値するものと言えるでしょう。

イラスト

「オプティミスト」と「ペシミスト」

楽観主義的な考え方をする者をオプティミスト(楽観主義者)と言い、悲観主義的な考え方をする者をペシミスト(悲観主義者)と言います。

具体的には、楽観主義者は

  • ・「良い事が起こるのは永続的であり、悪い事が起こるのは一時的である」(永続性)
  • ・「良い事が起こるのは普遍的であり、悪い事が起こるのはたまたまである」(普遍性)
  • ・「良い事の起こる原因は自分にあり、悪い事の起こる原因は自分以外のものにある」(個人度)

という発想をし、反対に悲観主義者は、

  • ・「良い事が起こるのは一時的であり、悪い事が起こるのは永続的である」
  • ・「良い事が起こるのはたまたまであり、悪い事が起こるのは普遍的である」
  • ・「良い事の起こる原因は自分以外のものにあり、悪い事の起こる原因は自分にある」

と考えがちです。

 
 
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