ココロトピックス

2018/06/11

No.112

時間制の飲み会に潜む落とし穴 ビンジ飲酒の危険

男性タレントが未成年と飲酒していることがマスコミを賑わせました。未成年にお酒を飲ませていたことも問題ですが、いわゆるイッキ飲みをさせていたことも問題です。
東京消防庁管内だけでも、毎年1万人を超える人が急性アルコール中毒で救急搬送されています。


では、イッキ飲みをしなければ大丈夫なのでしょうか。現在、注目が集まっているのが、ビンジ飲酒というです。


ビンジ飲酒とはbinge drink という英語の訳で、 短時間で多量の飲酒のことです。
アメリカの国立アルコール乱用・アルコール症研究所では、純アルコール換算で男性では70g、女性では56g以上を2時間以内に飲んだ場合がビンジ飲酒にあたるとしています。
大学生のビンジ飲酒を調査した日本の研究では、男性50g、女性40g以上をを2時間で、と定義しています。


純アルコール20gの目安は、
 ビール(5%)500ml、
 日本酒(15%)1合(180ml)、
 ワイン200ml(小コップ2杯)、
 焼酎100ml(コップ半分)
です。


つまり男性なら生ビールを中ジョッキで3杯(女性なら2杯)でビンジ飲酒の基準に達してしまいます。居酒屋の飲み放題つきのコースだと2時間が定番。ビンジ飲酒を超えている人も多いのではないでしょうか。なかにはドリンクのラストオーダーの前に一人で数杯分を追加で注文している人もいるかもしれません。


ビンジ飲酒の危険性について、大学生を対象にした筑波大学の調査が昨年6月に公表されています。この調査では、年1回以上のビンジ飲酒を経験している学生は、アルコールにかかわりのある外傷の経験が、そうでない学生の25.6倍に達していることがわかりました。
急性アルコール中毒以外にも、酩酊による転倒や転落事故、交通事故や溺死といった飲酒事故の危険は潜んでいるのです。
2時間制の飲み放題という居酒屋のプランは、構造的にビンジ飲酒に陥るおそれがあると言えそうです。
アルコールも、ソフトドリンクも、それぞれのペースで楽しめる宴席を心がけたいものです。


【参考資料】
厚生労働省:e-ヘルスネット「飲酒と事故」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-004.html

筑波大学 注目の研究 「アルコール過剰摂取は怪我の元 ~大学生の飲酒教育、もう1つの必要性~」
http://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201706301400.html