2018/03/12
No.109
最近ネットなどで自分の皮膚をむしる行為が話題となっています。
自分の皮膚をむしったり、引っ掻いたりして傷つけてしまう行為は「皮膚むしり症」と呼ばれる精神疾患で、自傷皮膚症(スキン・ピッキング)とも呼ばれます。
皮膚むしり症はこれまで強迫神経症の一種とみなされていましたが、2013年改訂の米国精神医学会の公式診断基準DSM-5で皮膚むしり症(ExcoriationDisorder)と命名され、強迫症および関連症群(強迫性障害)と同グループに属することになりました。
皮膚むしり症の対象となる部位は主に手や顔ですが、腕や足、胸などのこともあり、皮膚の凹凸や角質、吹き出物などを爪はもちろん針やピンセットなどでむしったり、引っ掻いたり、剥がしたりする行為を繰り返し、こすったり噛んだりすることもあります。
やめようと試みても衝動を抑えられずに傷ができるまでむしり続けることで、皮膚を損傷して、出血したり、炎症や感染などで傷が悪化することもあります。むしった跡が皮膚のあちこちに残り、恥かしいのでメイクアップなどでそれを隠そうとします。その結果、社会的、学業的、職業的などの領域における機能障害を引き起こします。
皮膚むしり症の患者の4分の3は女性で、幅広い年齢層、とくに思春期前後が多くなっています。発症率は約200人に一人が発症するといわれます。
原因は若干の遺伝的要素にくわえて、生活に苦労も刺激もなく、暇を持て余したりしている人に起こりがちといわれています。
皮膚むしり症の治療は、傷による出血や化膿があったり、上記の症状に心当たりがあれば、精神科(神経科)を受診するのをお勧めします。
治療法としては、傷がひどい場合はまず皮膚科で治療した後、精神科でカウンセリングや習慣逆転法(別の行動を皮膚むしりと置き換える行動療法)などの心理療法を施します。
一方薬物療法では、症状を和らげる選択的セロトニン再取り込み阻害薬の処方を行います。